ウェズレイはいずこ

コラム:インテルはどうなる? ストラマッチョーニを悩ませるスナイデル復帰
ヴェスレイ・スナイデルはチームの全体練習に復帰している。日曜日のカリアリ戦ではまだ試合を外から見守るだろうが、来週のルビン・カザン戦とパルマ戦では出場可能なメンバーの中に名を連ねることになる。少なくとも言葉の上では、アンドレア・ストラマッチョーニ監督にとって朗報だ。監督は今週何度もオランダ人MFの重要性を強調する発言をしていた。インテルは、その彼を欠いて10連勝という驚異的な記録を残していたのだが。
インテルには、前線の顔ぶれを選択しなければならない時がやってきたということだ。4人のスター選手が同時にピッチに立つことはできない。ロドリゴ・パラシオディエゴ・ミリートアントニオ・カッサーノ、そしてスナイデルの中から、順番に誰か一人はベンチに座ることを余儀なくされるだろう。
バランスの取れたチーム構成を見つけ出したインテルは、ワルテル・サムエルアンドレア・ラノッキアを同時に欠いたベルガモでもそれを変えなかった。特に前線の3人は誰もがうらやむほどの好調を維持しており、本当に自然な融合を見せていた。これからどのようなシナリオが考えられるのか。ストラマッチョーニにどのようなオプションが出てくるのかを見てみよう。
スナイデルをベンチに置く
ルビン・カザン戦(ヨーロッパリーグのグループ1位を決めるための意味しか持たない試合だ)を別にすれば、少なくとも今後の数試合はこれが最も賢明な選択だろう。
最も高給取りなスター選手をメンバーから外すのは、確かに簡単なことではない。だからといって、前線の3人の中の1人を今取り去ってしまうわけにもいかない。
次々と選手が離脱していく傷だらけのインテルの中で、パラシオ、ミリートカッサーノは間違いなく計算できる選手たちだ。ピッチ上で実力を発揮し、一つのプレーや一つの閃きで試合を決めてしまうことができる。
3人はピッチ上でお互いを探し、容易に息を合わせている。お互いに助け合い、理解し合う彼らのプレーを見るのは楽しいものだ。
ベルガモでの試合のようにビハインドから追い上げるために最大限の攻撃力が必要となった時、ベンチにスナイデルリカルド・アルバレス、マルコ・リヴァヤのような選手たちがいれば、彼らが落ち着いてベンチに座ることもできるだろう。
ストラマッチョーニは、クラウディオ・ラニエリの経験を思い出さないわけにはいかない。ラニエリが監督の時、ちょうどスナイデルの復帰と同時に7連勝が途切れてしまったことがあった。
■ 3人のうち1人に代えてスナイデルを起用
どんな選手であれ、シーズンを通して同じ状態を保ち、良いコンディションであり続けることは難しい。
試合数は多く、日程は厳しいものとなることが分かっている。3つの大会を戦い続けることで、精神面・肉体面での消耗は避けられない。前線にも多少のローテーションを適用するのは悪くないだろう。ヨーロッパリーグを別にすれば、今までのチームに欠けていたことでもある。
すでにメンバーを頻繁に入れ替えているインテルだが、スナイデルが加わることで新たなオプションが生まれることは間違いない。
トップ下の適正を持っている選手はコウチーニョスナイデルだけだ。イタリアでプレーしてきた経験の中でも、スナイデルは自らの活躍を通してそのポジションでこそ最大限の力を発揮できることを証明してきた。どちらかのサイドに追いやられるべきではないし、1トップの後ろでもない。
そういったポジションならカッサーノの方が向いている。そして、そのカッサーノスナイデルがピッチ上で息を合わせられるかどうかこそが、ストラマッチョーニにとっての最大の挑戦の一つである。最初の数試合(スナイデルキエーヴォ戦で負傷するまで)のうちは、若い指揮官はその挑戦に勝利できてはいなかった。
2人を共存させるのは、当初予想されていた以上に複雑な問題であることが明らかになった。もう一度試されることは間違いないだろうが、実験を行うためにはそれが許容されるだけの結果が必要だ。シーズン序盤にはなかなかその結果が得られていなかった。
■ "ファンタスティック・フォー"の同時起用
最も面白そうな案ではあるが、最も選びにくい選択肢でもある。
試合開始からこの形を採るのは空想科学的でしかないが、試合途中からであれば多少はあり得そうな話だ。ビハインドからの追い上げの必要がある時や、試合の終盤に決勝点を奪いにいく時だ。
苦しい展開の時にはためらうことなくFWを並べていた、モウリーニョ的なやり方でもある。
この点でストラマッチョーニはモウリーニョよりも慎重であり、よりバランスに気を遣っている。4人の攻撃のエースを並べればそのバランスが損なわれることは間違いない。
この場合、インテルは超攻撃的な3−3−1−3となるだろう。90年代にアヤックスを率いてチャンピオンズリーグ優勝と3度のエールディビジ優勝を成し遂げたルイス・ファン・ハールが得意とした形だ。その後マルセロ・ビエルサも2004年のアルゼンチン五輪代表で採用し、アスレチック・ビルバオでも時折用いている。
スナイデルは3トップの後方に位置することになる。ボールを持っている際の推進力は圧倒的なものとなるが、相手を追いかけ、カバーしなければならない状況になるとあまりにもぜい弱だろう。
■ まとめ
スナイデルはひとまずベンチから再出発させるのが望ましい選択肢ではある。勝っているチームは変えるな、というだけの理由ではない。2カ月間の離脱を経て、スナイデルの試合勘が十分ではないことは確実だ。相手選手がやや疲れてくる試合途中に起用してこそ、より決定的な仕事ができるだろう。
また彼の負傷歴を考えても、安心はしていられない。過去2シーズンを通して、彼の筋肉はその脆さを見せてきた。負傷が再発すればシーズンを棒に振りかねないが、復帰後徐々にプレー時間を増やすことでそのリスクを回避できるだろう。
現在の前線の3人が、確実な結果を約束してくれることも確かだ。数字もそれを証明している。パラシオ9得点、ミリート7得点、カッサーノ5得点に加えて、アシストやチームのための貴重な働きも提供している。彼らをピッチ外に追いやるためには、数々のゴールやアシストで3冠の立役者となった頃のような、絶頂時のスナイデルでなければならない。
ほんの2年半前のことが、はるか昔のように感じられるが…

文/アンドレア・ギズランディ
(C)Goal.com
(Goal.com - 11月18日(日)18時45分)

早晩インテルを去ることになるんでしょう。
インテルというチームが、トップ下の選手を欲してることはめったなことではないはずで、彼も例に漏れず。
ただ、行き先が前々から報じられているマンチェスターなの?といわれると、相手もそこまで欲しがっていないんじゃないか・・・。