復刊

名物雑誌、相次ぎ臨時復活 「看板」フル活用 読者つかむ
休刊した往年の名物雑誌を一時的に復活させる例が相次いでいる。書店の雑誌棚をのぞけば、「諸君!」「東京ストリートニュース!」…と、硬軟問わず、懐かしいタイトルに出合うはずだ。昨年1年間の販売金額が27年ぶりに1兆円を割り込むなど雑誌離れが鮮明になる中、黄金期に築いた看板を有効活用し、読者層を掘り起こそうとする戦略が見えてくる。
■「諸君!」という器
文芸春秋は1月末、平成21年6月号を最後に休刊した月刊オピニオン誌「諸君!」を、月刊誌「文芸春秋」の臨時増刊として発売した。特集のタイトルは「北朝鮮を見よ!」だ。北朝鮮の最高指導者、金正日総書記の死去を受け、その長男の金正男氏とメールをやりとりした新聞記者の手記や、韓国・ソウルで行った脱北した知識人による緊急座談会の模様などを掲載している。復刊ではなく1号限りの復活だが、30年以上続いた看板コラム「紳士と淑女」を巻頭に据えるなど、休刊前の誌面構成を踏襲し、かつての愛読者の心をくすぐる。
刊行が決まったのは、金総書記死去の一報から数日後の昨年12月下旬。休刊前に北朝鮮問題を取り上げてきた実績があり、鋭い主張を盛り込むには「諸君!」という器が最適だと判断したという。ノンフィクション系の書籍編集者ら8人が兼業で、企画の立案や原稿の手配に奔走した。吉地真(きちじ・まこと)編集長は「読者が議論を戦わせるべき重要テーマが出たときに刊行する、というスタイルを今後も続けられれば」と話す。
■ファッション誌も
1月20日に刊行された「東京ストリートニュース!2012」(学研パブリッシング)は、1990年代後半のカリスマ高校生ブームを牽引(けんいん)したファッション誌を、1号限定のムック(視覚的な雑誌と文字が主体の書籍との中間にある本)形式で復活させたものだ。平成14年の休刊から10年の節目に合わせ、当時誌面を飾った高校生たちの現在を紹介するインタビュー記事を載せた。「当時の読者もいまや20代後半から30代前半。これから国を背負っていく世代を元気づけようと企画した」と、編集担当の藤林仁司(ひとし)さんは話す。最盛期に首都圏で18万部を発行しただけに反響は大きく、発売数日後には一部ネット書店の書籍総合売り上げランキングで10位台に付けた。
昨年3月の東日本大震災直後、平成13年に休刊した写真週刊誌「FOCUS(フォーカス)」(新潮社)が週刊新潮別冊として出された例もあり、最近は重大ニュースに呼応する形での緊急出版が目立つ。
出版科学研究所(東京)によると、昨年1年間の雑誌の販売額は前年比6・6%減の9844億円。14年連続の前年割れとなり、下げ幅も20年の4・5%を超えて過去最大だった。収益の柱となる広告収入の落ち込みは深刻で、昨年も情報誌「ぴあ」をはじめ約160誌が休廃刊し、国内の総タイトル数は前年に比べて約40減った。
■ノウハウ蓄積にも
“一時復刊”が相次ぐ背景には、新創刊のリスクが高まる中、「社の看板であり財産」(吉地編集長)である休刊誌のブランド力を最大限活用したい、という出版社側の事情がある。さらに、今後雑誌を創刊する場合に備えて「執筆者との人脈や編集のノウハウを蓄積できる」(出版関係者)と別の効用を指摘する声もある。
出版事情に詳しい早稲田大教授の永江朗(あきら)さんは、一連の動きを「人気バンドの再結成と似ている」とみている。
「往年の愛読者を集められるから、市場でも好意的に受け止められる。最近は(出版社の)休刊の決断が早まっている印象があり、手に取る読者の中には『もう少しがんばってほしかった』という複雑な気持ちもあるのでは…」
産経新聞 - 2月20日(月)10時19分)

「だから『廃刊』じゃなくて『休刊』なんだ」といえばそれまでだが、やっぱり早くたたみすぎなんじゃ・・・って気もしますね。