偽者の世界遺産

世界遺産候補の「古墳」、ただの「塚」だった
読売新聞 1月26日(木)18時4分配信
大阪府などが世界文化遺産登録を目指す「百舌鳥(もず)・古市古墳群」(4世紀後半〜6世紀前半)の構成資産候補とされていた堺市内の「古墳」2基が、中世以降に土を盛って築かれた「塚」であることが、堺市教委の発掘調査で分かった。
2基はすでに候補から除外された。同古墳群には、日本最大の「仁徳陵古墳(大山古墳)」をはじめ、周辺の87基が資産候補に挙げられているが、調査を必要とする古墳が多く、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)への正式推薦までに、さらに絞り込まれそうだ。
大阪府立大の敷地内にある「聖塚古墳」と、南西約500メートルの「舞台塚古墳」。いずれも小規模ながら、皇族が葬られた陵墓の可能性がある大型前方後円墳「ニサンザイ古墳」(5世紀後半頃)の近くに位置することから、同古墳の被葬者の臣下らが葬られた同時期の古墳とみられてきた。
このため、府などは2007年、この2基を含め、堺、羽曳野、藤井寺の3市に広がる前方後円墳42基、方墳22基、円墳23基を、文化遺産を構成する古墳の候補として文化庁に提案。ところが、09年度に市教委が初めて聖塚古墳を発掘調査したところ、墳丘とみられていた部分(高さ約1・5メートル)の最下層から、江戸時代の磁器が出土し、18世紀以降に土を盛ってつくられたことが判明。舞台塚古墳からも、13世紀頃のものとみられる土器が見つかり、市教委は、いずれも古墳の可能性が極めて低いと判断した。
◆87基未調査のものも◆
同古墳群は、文化庁が10年に世界文化遺産の国内候補地リストに入れ、府と3市は、15年の登録を目指している。府と3市は現在、世界遺産への正式推薦に備え、ユネスコに提出する推薦書に記載する構成資産を精査中で、今後、候補に挙げた87基のうち、宮内庁が管轄する陵墓を除き、未調査のものなど約10基について発掘を進める予定。登録が実現すれば、大阪では初の世界遺産となる。

古墳と思われていたものがフェイクだったなんって。