コンビニの時代

コンビニは「第2の成長期」へ、格差鮮明化で業界再編加速も
[東京 23日 ロイター] 東日本大震災後の消費では、コンビニエンスストアの強さが目立っている。急ピッチで回復にこぎつけた商品供給によって、被災地域での強い需要がプラスとなっているほか、震災前から取り組んでいた客単価引き上げや客層の拡大が定着してきたことが大きく寄与している。
国内では出店数の大幅な伸びが見込めない中で、独自の取り組みや投資により企業の格差が拡大することも予想され、業界再編が加速するの見方も出ている。
<低価格競争是正もフォロー> 
「コンビニは第2の成長期に入った」―――。ローソン<2651.T>の新浪剛史社長は「ロイター日本再生サミット」でこう話した。東日本大震災はコンビニのライフライン的な役割を再認識させた。「遠くのスーパーよりも近くのコンビニ」という消費行動は強まり、必要な時に必要なものが買えるというコンビニの特徴が強みを発揮しているという。
セブン&アイ・ホールディングス<3382.T>の村田紀敏社長は、震災を経て、消費者は価格重視から質重視へと変化していると指摘する。「これまでの消費行動は価格が中心だったが、ニーズ、質を求めた消費に価値観が変わり始めた。単なる安さだけでは買わない。デフレを変える大きなエポックになるとみている」とし、小売り業界の低価格競争が是正され、割高感があったコンビニにはフォローの風とみる。
震災による特殊要因が薄まったとみられる5月の既存店売上高は、セブン&アイHD傘下のセブンイレブンが6.5%増、ローソンが5.6%増、ファミリーマート<8028.T>が2.4%増となり、苦戦する外食や百貨店に比べて明るい状況だ。震災に伴う需要もさることながら、昨年10月から実施されたたばこ値上げの寄与や震災前から取り組んできた客層の拡大や単価引き上げが定着してきているためだ。
足元の好調さについて新浪社長は「生鮮品を入れるなど、スーパーの代替ができるように施策を打ってきた。そういうい施策が評価されていると思う」と述べ、男性サラリーマンや若者が主流だった客層が女性や高齢者に拡大している点を挙げた。ファミリーマートが50歳から65歳までの消費者を対象に2010年9月から始めた「大人コンビニ研究所」も、客層拡大や客単価引き上げ策の一環だ。
コンビニの国内店舗数が4万店を超え「飽和状態」との指摘も聞かれる中、コンビニ各社は震災前からこうした取り組みを強化してきた。特に、高齢社会が進む日本では、近くの店舗で必要量を購入するという消費者は増加しており、スーパー各社も都心の小型店舗を強化しているが、コンビニが一歩リードしている格好だ。こうしたビジネスモデルは2016年にも人口減少に転じると予想される中国などでも活用できる、というのが業界各社に共通する見方だ。    
<震災を経て、投資余力の重要度が増す>
震災により、加盟店が本部を選ぶ目が厳しくなることも予想される。他の小売り同様、工場の被災や物流網の寸断などで一時品不足に陥ったコンビニ。セブンイレブンは、グループの商品調達力などを活かして、いち早く、体勢を立て直した。そのセブン&アイHDは、12年2月期に投資の約65%を内外のコンビニ事業に投じる計画にしており、プライベートブランド商品の刷新やチルド商品の強化を打ち出している。
コンビニでは、食料品や日用品の購入のほか、ATM、役所の代行、チケット購入など、社会インフラとしての機能が強まっている。これらのインフラ整備に投資が必要なほか、震災後の加盟店支援にも、本部の力は必要だ。
新浪社長は「上位4社はいらない。2社でいい。2社に残れるかどうかが重要」としたうえで「加盟店は、本部が弱かったら他社に行こうとする。1番と2番以外は非常に厳しくなっている」とみる。ファミMの上田準二社長もかねてからの再編論者で「チャンスがあればいつでも」という立場だ。フランチャイズビジネスであるコンビニは、再編が難しいとも言われていたが、ファミMによるエーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)買収が成功したことで、再編に対する懸念は薄れている。
一方、最大手セブンイレブンは、依然として国内コンビニ再編には距離を置く。村田社長は「コンビニの持つロイヤリティが高いかどうか、質が高いかどうかにかかわってくる。1店1店が持つ売り上げの力がすべて。自力でやる方が効率が高い」としている。(ロイターニュース 清水 律子)
(ロイター - 6月23日(木)18時8分)

コンビニの店舗数がこれ以上増殖するとは思わないけど、減るとも思わない。
質の向上にシフトしている時期だ・・・とは、確かに感じる。