東北は復興に燃えている!

社業再生へ不屈 酒造で機械加工で製塩で…
東日本大震災は、東北の地域経済を支えてきた沿岸部の企業をものみ込んだ。事務所が倒壊した酒蔵で、津波の泥に埋もれ設備を流された工場で、経営者や従業員が再起を誓う。将来を信じ、苦難に立ち向かう。
◎新酒必ず杜氏奮起 気仙沼 
「こんな年だからこそ、みんなに新酒を飲んでほしい」。南部杜氏(とうじ)が折れそうな心を奮い立たせる。
気仙沼市の男山本店。1912年創業の造り酒屋は「伏見男山」などの銘柄で愛されてきた。
市中心部を襲った津波は築80年の事務所を崩壊させた。家族を失った従業員もいる。
何とか酒蔵は残った。わずか2人で、この冬最後の酒造りに挑む。
杜氏の鎌田勝平さん(68)=花巻市=はこの道50年。「あと少しで、もろみを搾る作業に入れそうだ」。車や蔵に寝泊まりし、もろみの発酵に注意を払う。
ライフライン復旧のめどは立たない。売り先となる市内の酒店は8割が被害に見舞われた。
不安を挙げればきりがない。目標は「復興」ただ一つ。
「地元の雇用、地場産業を守り抜く」と社長の菅原昭彦さん(49)。「今まで以上にいい酒を造りたい」(高橋鉄男)
◎社員一丸泥と格闘 岩沼 
床を埋めつくした泥を黙々とかき出す。電気は通じていない。従業員が頼りにするのは窓からの薄明かりだ。
岩沼市で精密機械加工を手掛ける岩沼精工。海岸に近い工場は津波に見舞われ、60台の生産設備が全て海水に漬かった。
社長の千葉喜代志さん(65)は地震発生時、東京に出張中だった。妻の洋子さん(60)が素早く対応し、50人の従業員全員が難を逃れた。
損害額は想像もつかない。「機械は買い替えればいい」と千葉さん。「金で買えない人が残ってくれたことが何よりだ」。気落ちした様子はみじんもない。
経営者仲間から激励が次々と携帯電話に舞い込む。「大丈夫か」「仕事を引き継ぐぞ」。17日にはトラック1台分の救援物資も届いた。
従業員も仲間も会社の復興を信じている。「絶対に負けるわけにはいかない」。再起を目指す千葉さんの決意は固い。(斎藤秀之)
◎古来製法再開誓う 塩釜 
高さ2メートルの津波到達地点の上。壁に掲げた看板が、辛うじて残った。
塩釜市の塩製造会社「顔晴(がんば)れ塩釜」は、震災で大鍋やかまどがやられ、生産不能に陥った。海水を煮込む古来の製法による「塩釜の藻塩(もしお)」作り。2年前に始め、軌道に乗り始めたばかりだった。
17日夜、全従業員の無事がようやく確認できた。現場トップの及川文男さん(63)は「どれだけ時間がかかっても、絶対再開する」と話し、力を込めた。
「もともと、まちおこしのために始めた塩作り。今こそ頑張る時だ」(阿部信男)
河北新報 - 3月21日(月)6時13分)

こんな話をもっと見たいです。
勇気が出るのは、我々も同じ。