負の共有

“自虐PR”なぜウケる? 「現実さらす負の面」共感
「日本で47番目に有名な県」「島根の暦は日本の暦と同じ」−。そんな「自虐的」な文句を並べて話題になった島根県のカレンダーが完売した。また、ある旅行情報会社が募集した「世界一汚い」ホテルに泊まるツアーには、予想を上回る応募が。良い点ではなく負の面を強調する自虐的なPRが近ごろ受けている?!
◆「汚い」が人気
「好評のため、増刷分も合わせた計800部が完売しました」と語るのは島根県東京事務所。事務所は今年、脱力系アニメ「秘密結社 鷹の爪」に登場する県ゆかりのキャラクターを使い、島根の魅力を自虐的に表現するカレンダーを初めて販売した。1月末に完売したため増刷したが、それも3日間で完売。事務所には2月下旬の今も、1日何本も問い合わせの電話があるという。
一方、旅行情報会社「トリップアドバイザー」が1月末に発表したのは、「世界でもっとも汚いホテルランキング」。「世界でもっともサービスの良いホテル」などのランキングも出しているが、「取り上げられるのは『汚いホテル』ばかり…」(担当者)。
そこで同社が企画したのが、世界の汚いホテルに無料で泊まれる10日間の「最も汚い世界一周卒業旅行」だ。大学や専門学校を今年卒業する学生に対象を絞ったにもかかわらず、予想を上回る81組が応募した。
◆過程が「物語」
「世の中には結構、『ネガティブ』を支持する人が多いんです。ネガティブがポジティブに変わっていく過程には人に話したくなる物語がある」と「ネガティブPR」の力を分析するのは、広告研究誌を出版する「宣伝会議」の田中里沙取締役だ。
田中氏によると、広告は都合の悪いことは伝えなかったり、良いことを過大に宣伝したりもできる。それだけに、「現実」をそのままさらす自虐的な手法をとりたがらない広告主は多い。だが、「情報化社会では会社も人間も、いつも良い顔ばかりでないことが分かってしまう。それなら現実をさらけ出した方が共感を得られやすい」と田中氏。
「無名」を武器に「知名度アップ」を目指す島根県。「本当に汚いか確かめるには泊まるしかない」と“怖いもの見たさ”の心理を突いてツアーを企画したトリップアドバイザー。マイナスの情報であっても、話題になれば同社のサイトがにぎわうことになる。
自虐PRの効果はやはり大きいようだ。
産経新聞 - 2月25日(金)7時56分)

なかなか興味深いけど、ホテルはきれいな方がいいです(苦笑)