今の「世界最高」ではまだ足りない

三洋、太陽電池の世界記録更新 変換効率20%パネルに一歩
三洋電機は22日、太陽光発電パネルの主要部品である太陽電池で、太陽エネルギーを電気に変える変換効率の世界最高記録を更新した、と発表した。2、3年後の量産化を目指す。
22.3%だった従来の記録を23.0%に塗り替えた。記録更新はシリコンを使ったタイプで100平方センチメートル以上の実用サイズで達成した。太陽電池を複数枚配列した太陽光発電パネルの変換効率は現状10%台のものが多く、今回、部品性能が向上したことを受け、三洋ではパネルの20%台も視野に入れ、開発競争で優位性を確保したい考え。発電効率の向上は、設置するパネルの面積が小さく済み、販売価格の低下につながるだけに、国内外のメーカー間で効率向上の開発競争が過熱している。太陽電池の変換効率の引き上げは、22%台が中心だったが、三洋は実用サイズとして世界で初めて23%の壁を突破し、パネルでの20%台実現に向け、ライバルを突き放した格好だ。
三洋は、電池表面で受けた太陽光を発電層に導く役割を持つ、導電膜などを改良し、吸収損失を低減することに成功。また、電気の素である「電荷」を効率的に取り出す技術を確立し、電流が約0.8%増え、1平方センチメートル当たり39.5ミリアンペアへと改善した。ソーラーエナジー研究部の丸山英治部長は「20%を上回る発電効率の高い太陽光発電パネルの実現に一歩近づいた」と話した。


■基準統一、消費者の混乱回避
太陽光発電装置は、国が設置時の補助金制度を3年ぶりに復活させたほか、東京都など自治体も独自の補助金制度を始めるなど、“ダブル補助金効果”で追い風が吹いている。一般住宅向けでは、2009年度は前年度を60%以上上回る10万件弱の設置が見込まれている。
一躍、有望市場になったことで、メーカーによる販売競争も激しさを増している。三洋電機は国内生産量でシャープ、京セラに次いで3位。4位の三菱電機が追い上げる中で、低価格を武器に中国の太陽電池メーカー、サンテック・パワーが日本市場に参入するなど攻勢をかけており、商品の品質面での優位性を打ち出す必要に迫られていた。今回の技術革新の量産化は数年後だが、高い技術力を誇示することが消費者へのブランド力アピールにつながるだけに、国内メーカー間では、方式の違いを利用し、それぞれが変換効率について「世界最高」「業界最高」とアピールしている。消費者の混乱を回避するためにも、基準作りが求められている。
(フジサンケイ ビジネスアイ - 5月23日8時16分)

もし50%を超えたら、世界のエネルギー市場の地図は一変するでしょうね。