その記事から

上野413球投げ抜いた!日本「金」…ソフトボール 
北京五輪 ソフトボール決勝 米国1−3日本(21日・豊台ソフトボール場) 鉄腕・上野だ、日本金メダルだ−。日本は前日20日に2試合を投げた上野由岐子(26)=ルネサス高崎=が、完投し2日間413球の熱投。打線も山田恵里(24)=日立ソフトウェア=のソロ本塁打などで3点を奪い、宿敵・米国を振り切った。球技としては1976年モントリオール大会女子バレーボール以来のV。2012年ロンドン大会で実施競技からいったん外れる最後の戦いを制した。日本の今大会での金メダルは9個となった。
上野を中心に日本ナインの歓喜の輪ができた。もみくちゃになりながら空に手を突き上げた。ピンと伸びた人さし指が金メダルの証しだ。「鳥肌が立ちました」自身の夢、日本の夢が結実した感覚が体中を襲った。
魂の投球だった。前日の準決勝・米国戦、3位決定戦のオーストラリア戦はともに延長を戦い、21イニングで計318球を投げ抜いた。激闘から一夜明け、再びグラウンドに立った。「思ったよりも体力を消耗していた」MAX119キロの剛速球はもう投げられない。その代わり100キロ台の球で丁寧にコーナーをついた。1回、いきなり迎えた1死満塁の大ピンチにも変化球を交え、後続を抑えた。4回、雨で18分の中断をはさんだその裏、バストスに一発を浴び、さらに6回1死満塁のピンチも「ホームランだけは打たれない配球」を心がけた95球の力投。「まだ投げられる感覚はある」と“鉄腕”は言ってのけた。
10年越しの一戦だった。シドニー五輪前に日本代表候補に入ったが、当時高校生だった上野は、体育の授業中に腰ついを骨折した影響で断念。アテネでは1次リーグで対戦があったが登板はなく、日本は3位決定戦で敗退。「米国とやってみたい。自分の力を100%出して、どこまで通用するか試したい」金メダルだけを追い求め、五輪用のユニホームにはベルトのないタイプをリクエスト。「米国対策」で磨いた変化球を投げると右ひじ内側がベルトに当たるからだった。
試合後は斎藤春香監督(38)を3度胴上げ。自分を信じ、連投させてくれた指揮官に感謝した。さらにほかにも金メダルをささげたい人がいた。恩師で所属するルネサス高崎宇津木妙子総監督と宇津木麗華監督だ。シドニーアテネと日本代表を率いた宇津木総監督は、前日、上野にメールを送った。「かなえられなかった夢を託すから」上野は投球で応え、その夢をかなえた。「総監督と監督の気持ちを背負ってこれたことに感謝しています」母・京都(みやこ)さんが「勝っても絶対に泣かない子」という上野の目に涙が光った。宇津木総監督もバックネット越しに手を振るまな弟子の姿に「本当にありがとう、と言いたい」と涙した。
中学の卒業式の答辞で「自分の夢はソフトボールで五輪に出て感動を与えたい」と誓った上野の夢はかなった。「2016年に戻ってくることを期待して次につなげたい」ソフトボールファンの夢がつまった金メダルは、上野の胸で一際輝いていた。


◆上野 由岐子(うえの・ゆきこ)1982年7月22日、福岡市生まれ。26歳。9歳のときにソフトボールを始め、柏原中3年で全国大会優勝。九州女高に進み99年世界ジュニア選手権V。2001年、日立高崎(現ルネサス高崎)入り。02年の世界選手権、中国戦で完全試合達成。同年の釜山アジア大会金メダル。アテネ五輪1次リーグ、中国戦でも完全試合を達成し、銅メダル。06年の世界選手権は銀メダル獲得。174センチ、72キロ。右投右打。
(スポーツ報知 - 8月22日8時01分)

負けたアメリカは、相当面白くないと思いますが(苦笑)
有終の美・・・って言ってしまっていいのだろうか。
東京になるかもしれないオリンピックに、また帰ってこれますように。