曲がり角の写真週刊誌

「フライデー」再出発に逆風 部数低迷、取材方法に批判
前代未聞の発売中止で話題を集めた講談社の写真週刊誌「フライデー」。編集部によると「お詫(わ)びとご説明」を掲載した先週発売の10月19・26日号の売れ行きは通常と変わらなかったという。騒ぎはひとまず沈静化したかたちだが、出版関係者は「写真週刊誌の存続自体が曲がり角にさしかかっている」と指摘する。発売中止は編集上のミスが原因だったが、取材手法への批判や部数の低迷など、厳しい逆風にさらされている状況は変わらない。トラブルはほんとうに乗り越えられたのか−。(舛田奈津子)
「経験したことがない事態でしたが、10月19・26日号は、発行部数も売れ行きも問い合わせの数なども通常と変わらなかった」とフライデー編集部。
10月19日号を、出荷前に全量断裁するという異例の事態に陥った理由は、「時津風部屋の暴行事件に関する記事作成の過程で重大なミスが発生した」からだという。関係者によると「死亡した力士の兄弟子の写真を間違えた」とされるが、編集部としては、詳細の公開は混乱を招く、として具体的なミスの内容は公開しなかった。
「事件なスクープ誌再スタート宣言!」と出直しをアピールし、今後も「充実した誌面作りに取り組んでいく」としているフライデーだが、写真週刊誌「フォーカス」の元編集長、山本伊吾さんの分析は手厳しい。
「届くべきものが届かず、読者の信用を失った。存続にかかわる問題です。採算のとれない写真週刊誌を苦々しく思っている人は出版社の内外に少なくないんですから」
昭和56年に発売されたフォーカスは写真週刊誌ブームの先駆けだった。新しい雑誌として20〜30代の支持を集め、59年にフライデーが創刊。さらに「エンマ」「タッチ」「フラッシュ」などが追随した。
しかし、61年のビートたけしらによるフライデー編集部襲撃事件が転機となり、強引な取材手法などへの批判が高まる。各誌の部数は激減した。山本さんは「確かに行き過ぎたかもしれない。ただ、そうした取材による写真や記事が、写真週刊誌の特徴であり役割だった」と振り返る。
その後、エンマ、タッチ、フォーカスは相次いで休刊。フライデーとフラッシュは発行を続けているが、日本雑誌協会によるとかつて170万部を誇ったフライデーの部数は現在約41万部。フラッシュも約34万部で、全盛期と比べると雲泥の差だ。そして逆風は強まっている。
「今回のミスも、5年前なら発売していたでしょう。個人情報保護や訴訟案件の増加など“頭痛のタネ”が多いなか、無理ができなくなっている」と山本さん。
フラッシュ編集部デスクの丸山知明さんも「他人事ではない」と話す。フラッシュは一昨年、雑誌の“顔”である表紙を衣替え。グラビア重視路線で部数アップを図っている。「写真週刊誌にとって厳しい時代だが、出版をやめてしまうわけにはいかない」。
法政大学社会学部の稲増龍夫教授(メディア文化論)は「今は、写真週刊誌に取って代わる刺激に満ちた情報があふれている。興味の対象が多様化し、芸能一本やりでは興味をもたれない。なくては困る存在だった写真週刊誌が、発売中止を契機に“なくてもいいや”というものになってしまうかもしれない。ジャーナリズムの王道としての写真週刊誌の役割は終わりを迎えつつあるのでは」と話している。
産経新聞 - 10月22日15時28分)

文中に書かれている、FLASHがグラビアを増やしている・・・ってところが、現状を端的にあらわしていると思います。
正直、グラビアのねーちゃん以外興味はないし、読まないんですよね。
そこに真実が落ちているかといえば、そうでもないし。
「なくてもいいや」というものに「なってしまうかも」じゃなくて、もうなっているのだと思いますね。